映画『この夏の星を見る』に寄せられたリスナーからの熱い反響と、宇多丸さんによる詳細なレビューをまとめました。
映画『この夏の星を見る』とは?
本作は、新型コロナウイルスの影響で制限された高校生活の中、リモート会議アプリを活用して「オンラインスターキャッチコンテスト」に挑む高校生たちを描いた青春ドラマです。
視聴者からの反響
圧倒的に高評価のメール
映画の公開規模は大きくなかったものの、多くのリスナーから推薦メールが届き、その9割以上が肯定的な内容でした。
印象的なリスナーの声
- ラジオネーム・ピピピのピさん 「星を見つめる」という共通の行動を通じて、異なる境遇の高校生たちの青春が交差するさまを「青春の具現化」と絶賛。
- ラジオネーム・草むすびさん スターキャッチコンテストのシーンを「映画・映画館・星空の相性の証明」と評し、コロナ世代としての自分の気持ちが肯定されたことに感謝。
- ラジオネーム・ゲロジウムさん 夜空の描写が美しく、日本映画でここまでナイター撮影にこだわった例は稀と高評価。
- ラジオネーム・旧本屋プラグこと本町文化堂の嶋田さん 作品を称賛しつつも、テンポの速さや編集手法が「映画的というより広告的」との批判的視点も提示。
- ラジオネーム・りんさん 音楽の効果を絶賛し、「しかるべき瞬間に歌が流れ出す演出」を「ずるい」と賞賛。
宇多丸さんの詳細レビュー
全体評価
宇多丸さんは本作を「間違いなく傑作」と断言し、青春映画・天文学映画・コロナ映画・小説の映画化のすべての面で「文句の付けようがない」と絶賛しました。
原作と制作の背景
- 原作:辻村深月さんの新聞連載小説(2021〜2022年)
- プロデューサー:松井俊さん(『THE FIRST SLAM DUNK』)、島田香さん(東映)
- 監督:山本苛さん(1993年生)、脚本:森のmashuさん(1996年生、坂元裕二氏の弟子)
広告的アプローチと新しい映画スタイル
- 制作に広告業界の人材も参加
- 「テンポの早さ」や「スタイリッシュなセリフ」が狙い通り
- 映画と広告の融合という新たな映像表現スタイル
宇多丸さんによる3つの映画的視点からの解説
1. 映画としてのデザイン
- 左右対称の構図や丸いモチーフの多用(月、瞳、ボールなど)
- 抽象的なイメージ映像(鉄球、花火、都市の灯り)
- 影響元:『オッペンハイマー』
2. 映画としての挑戦
- 全編マスク着用の演出:目の演技や声の個性が映える
- リアルなコロナ描写:ニュース音声、中傷ビラなど
- 星空表現:アメリカンナイターと本物の夜景の使い分け
3. 映画ならではの表現
- スターキャッチ競技のシンクロ描写
- 麻のフラッシュバック演出に見る深い物語性
- セリフではなく映像で語る、「映画的表現の神髄」
キャストと演技への評価
- 桜田ひよりさん:「妖精コメディエンヌ」のような存在感
- 水沢林太郎さん:「薄暗いハンサム」との対比が魅力
- 脇役陣まで演技が光る:「全員の顔を思い出せる」キャスティングの妙
宇多丸さんの連想と総括
- 思い出した映画:『遠い空の向こうに』『ハル』『サマーウォーズ』『この空の花』など
- 「良いお年」という言葉に込められた未来への希望
- 本作は、後世に残る青春映画になる可能性を秘めている
終わりに
宇多丸さんは本作を「お見事」と称賛し、「桐島、部活やめるってよ」と同様に日本映画史に残る青春映画になるかもしれないと結んでいます。青春、コロナ禍、星空、映画表現のすべてが詰まった一作。ぜひ劇場で体験してみてください。
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